Entries from 2026-01-01 to 1 year
私が住んでいる場所は、宮津市の一角にあるKundaという地区である。 ここに移ってきて一年余りになる。私は日本に来たばかりの訪問者ではない。三十年近くこの国で暮らしてきた。の間、建築が人の身体や振る舞いをどのように形づくるかを観察してきた。 私が…
なぜ私は日本に戻ってきたのか 私は日本に戻ってきた。理由は単純だ。この人生で、最も長く生きた国が日本だったからである。多くの友人と同じように、私は最初「数年のつもり」で来た。正式な契約があり、期限があり、出口も用意されていた。しかし、私はそ…
何も発信しない時間があると、 不安になることがあります。 何か止まってしまったような気がして。 流れから外れてしまったような気がして。 でも、沈黙は空白ではありません。 止まっているのではなく、 静かに満ちていく時間です。 言葉が軽くならないため…
私はモロッコのフェズという町で生まれた。なぜそこに生まれたのかは分からないし、それほど重要だとも思っていない。ただの事実として、そうだったというだけだ。年月が過ぎ、いくつもの国や場所、家を渡り歩いてきた。それらの場所もまた私を通り抜け、痕…
神社に行くと、像がないことに気づく人は多いと思います。神さまの姿も、物語の説明もありません。その代わりに、よく置かれているのが「鏡」です。なぜ鏡なのでしょうか。 神を映すためではない鏡 神道の鏡は、神の姿を映すものではありません。神を表現し…
私はもう何年も瞑想しています。始めたのは学生の頃でした。ある日、ふと感じたのです。人生は、このまま前に走り続けて、年を取り、最後を迎えるだけなのだろうか?」きっと、別の生き方があるはずだ、と。それから私は真面目に探しました。とても真面目に…
沈黙というと、多くの人は「落ち着いた状態」を想像する。でも、人生の中で出会う本物の沈黙は、だいたい落ち着いていない。むしろ——ちょっと気まずい。少し間が悪い。何をすればいいか分からない。たとえば、次に何を言えばいいか分からない瞬間。何かを始…
雪は、黙って世界を変える 雪は何も主張しない。説明も、警告もない。ただ静かに降り、世界の輪郭を変えてしまう。庭は白に覆われ、いつも使っていた道は見えなくなり、目印だったものが消える。何か悪いことが起きたわけではないのに、身体と心のどこかに、…
私はとても若い頃に、この言葉を耳にしました。14歳か15歳のときです。偶然のような形で、私はミシェル・シモンというフランスの俳優にインタビューする機会を得ました。彼は映画や舞台で長いキャリアを持ち、多くの人に愛された、非常に才能豊かで存在感の…
雪が何層にも積もると、生活の速度が自然と落ちる。白い毛布に覆われた庭を眺めながら、私はまた、自分が選んだ今の暮らしについて考えていた。冬の静けさの中でも、心から気に入っている場所だ。 私が暮らしている宮津は、将来を数字で語られることが多い町…
冬は風景を暗くする。 すべてが、より遅く、より静かになる。 霧は木々にまとわりつき、 冷たさは動きを凍らせ、 自然はまるで動きを止め、 眠っているかのように見える。 派手なものは何もなく、 一般に言われる意味での「喜び」もない。 それでも…… このエ…
ウクレレを始めて3年になる。本も買ったし、チュートリアル動画もたくさん見た。先生も変えたし、楽器も何本か替えた。それなりに、ちゃんとやってきたと思う。 演奏者の動画を見ると、動きが軽い。音が自然。考えているように見えない。ああいう感じが「上…
アートのように生きることは、努力ではありません。もっと言えば、頑張らないことです。今ここに在ること、丁寧に生きることは、宗教でもなければ「より良い人間」になるための修行でもありません。善と悪、正しい態度と間違った態度を比べる話でもない。む…
今朝、目を覚ますと、夜のあいだに雪が深く降っていた。庭も屋根も門も、すべてが静かに覆われている。音が吸い込まれ、時間が少し止まったような景色だった。その瞬間、頭に浮かんだのが、フランス語の 「présence(プレゼンス)」 という言葉だった。だが…
水はなぜ坂を下るのか 水が坂を下るのは、怠けているからではない。楽をしているからでもない。ただ、そこに動きが生まれるからだ。逆らわず、しかし受け身でもない。坂とは「力を入れなくても進める方向」のことではなく、「エネルギーが自然に循環する方向…
ブルース・リーの有名な言葉「Be water(水になれ)」は、よく誤解されている。ポスターに印刷され、プロフィールに書かれ、人生訓のように消費される。だが、彼が言っていたのは「柔軟になれ」という抽象的な精神論ではなかった。もっと具体的で、身体的で…
正直に言えば、もし当時の私が少しでも「合理的」だったら、宮津には来ていなかっただろう。日本海側の小さな町。派手な観光地でもない。人口は減少しつつある。条件だけを並べれば 選ばない理由はすぐに揃う。「ここでは無理だ」「成功しないだろう」「知ら…
信念は便利だ。時間を節約できる。もう見なくていいし、聞かなくていいし、驚かなくていい。すでに「分かっている」からだ。人生とはこういうものだ。世界とはこういう仕組みだ。自分とはこういう人間だ。信念は注意力を確信に置き換える。そして確信は、安…
生きることは、もともとアートである 私が「生活はアート」と言うとき、それは美術館に飾られる作品の話でも、一部の才能ある人だけの世界の話でもない。ましてや、努力や苦しみ、自己犠牲の末にようやく手に入れる“特別な成果”のことでもない。私が言うアー…
世界は速くなり、人は迷っている スマートフォンが当たり前になり、情報はあふれ、人生は以前よりずっと速く、説明過多になった。一方で、人は以前より迷い、疲れ、「どう生きればいいのか分からない」と感じているようにも見える。だからこそ今、あらためて…